有明の月
其の1
暗いうちに起きだしてカーテンを開けると中空に月があがっている。
今日は有明の月とある。
百人一首に有明の月を歌いこんだものは4首。
以下のとおり。
春、夏、秋、とりどり。
恋のうた2首。
しかし、当方の関心はとりあえず今日の仕事。
朝ぼらけ 有明の月と みるまでに
吉野の里に ふれる白雪
有明のつれなく見えし別れより
あかつきばかり憂きものはなし
ほととぎす 鳴きつる方を 眺むれば
ただ有明(ありあけ)の 月ぞ残れる
今来むと 言ひしばかりに 長月(ながつき)の
有明(ありあけ)の月を 待ち出(い)でつるかな
其の2
今日も暦には有明の月とある。
暗く寒い部屋で仕事をしている。
出窓の屋根を雨がたたく音がする。
月は見えない。
其の3
春たけなわに年の切り替わりがやってくる。
終わるためのあれこれ、まだ終わらぬ仕事、 そして、始めるためのあれこれ。
いくつもの時間が平行して流れる。ときに集中しなければならぬことも起きる。
うっかりその乗り換えに失敗する。
偶然のように再会する人もある。他所の時間の流れにはそれぞれの濁流もある。
集まりの約束を失念する。
有明の月を眺め飽きていた人々にはどのような時間が流れていたのか。
また、彼らが待ちわびた人々は。
かの世にも政争はあり、夜の密談もあったやもしれぬ。それとも。
其の4
如月の有明の月を追ひて弥生新月にいたる。
G.W.Allport Personality.
.K.Lewin Field Theory in Social Science.
S.Moscovici, W.Doise Dissensions Consensus.
書棚の整理。
諸事。
其の5
弥生2日。既朔とある。
見えぬ月は朝、東の空にあり、夕刻、西に隠れる。
一日落ち着かぬまま雑事をこなす。
傘をさす程度の雨。
其の6
弥生4日。夕月。
月齢2.34日。
日の出と共に東に上がったはずの細い月は少し緩やかに天空を巡り、日没後3時間近く西の空に残っているはずである。
太陽に対峙して地球が自転する。
そのことによる、地球上の一地点の日影の変化。
太陽と地球とに挟まれた位置にある月の自転と、地球に対する回転。
夜半に山本周五郎原作の映画を見る。
徳川の御世、貨幣経済による根底的な社会変化を、それは十分描ききっていない。
その宇宙を。
藤沢周平にしてまた然り。
其の7
車の更新を決め、あれこれの手続きが進む。
多分、安価な中古車を求める若い人がいるのであろう。
免許を取ったばかりの若い人か。
新しい車を売り、業績につなげたい人もいる。
今月最低でも5台、できれば7台か8台と営業担当者は言う。
貨幣についての小さな得失の積み重ねは言わぬこととする。
すべては斯様な大きな流れの中にある。
古くなった車への不安。
タイヤの磨耗。
開発当初の構造上の問題。
左右前方視界の不全など。
そして、運転補助機能。
新しい車に助けられてしばらくしのいでいくのであろう。
其の8
弥生6日、今日も夕月。
新緑のころに吹く夕間暮れの微風、とさる人のブログにある。
開花前。夕暮れの坂道を歩く。
ツィードの上着が重たい。
昨日未明、大仕事が山を越えた。結局睡眠時間は1時間半。
其の9
弥生9日 月はそっけなく九夜月。
夜半ちかく、弦を天空に向けて戴き西の空に没するはずである。
朝、緩やかに身体を動かし、のち、雑物の整理。
紙容器を再生ゴミとして、そして、その他雑物を可燃ゴミとして指定場所へ運ぶ。
太陽暦の上で月が替わると不燃ゴミ。そして、学区の廃品回収。
いやおうなく日々が移っていく。
今日は休暇をとってある。しかし気になることのあれこれがあり、職場へ連絡をする。
1時間近くを歩き、街で雑事。
雑事とおろそかにしてはならぬ。いずれも、新しい年度を乗り切るための準備。
滞りなくことが進むように。少しずつ始末をつける。
あと5年、あるいは6年の予定表。
姿の見えぬ月を描きながら月が天空にあらわれ、没していくまでを準備する。
月の始まりはこのようであったのか。
其の10
太陽の暦が改まる。
気の利いた馬鹿話のひとつも思い浮かばない。
1年前、思い描いたとおりの日々が過ぎる。
大陸の向こうの端の友人夫婦にまた孫が生まれた。
祝いを贈るべきか、あるいは不安の種になるのか。
暗いうちに起きだしてカーテンを開けると中空に月があがっている。
今日は有明の月とある。
百人一首に有明の月を歌いこんだものは4首。
以下のとおり。
春、夏、秋、とりどり。
恋のうた2首。
しかし、当方の関心はとりあえず今日の仕事。
朝ぼらけ 有明の月と みるまでに
吉野の里に ふれる白雪
有明のつれなく見えし別れより
あかつきばかり憂きものはなし
ほととぎす 鳴きつる方を 眺むれば
ただ有明(ありあけ)の 月ぞ残れる
今来むと 言ひしばかりに 長月(ながつき)の
有明(ありあけ)の月を 待ち出(い)でつるかな
其の2
今日も暦には有明の月とある。
暗く寒い部屋で仕事をしている。
出窓の屋根を雨がたたく音がする。
月は見えない。
其の3
春たけなわに年の切り替わりがやってくる。
終わるためのあれこれ、まだ終わらぬ仕事、 そして、始めるためのあれこれ。
いくつもの時間が平行して流れる。ときに集中しなければならぬことも起きる。
うっかりその乗り換えに失敗する。
偶然のように再会する人もある。他所の時間の流れにはそれぞれの濁流もある。
集まりの約束を失念する。
有明の月を眺め飽きていた人々にはどのような時間が流れていたのか。
また、彼らが待ちわびた人々は。
かの世にも政争はあり、夜の密談もあったやもしれぬ。それとも。
其の4
如月の有明の月を追ひて弥生新月にいたる。
G.W.Allport Personality.
.K.Lewin Field Theory in Social Science.
S.Moscovici, W.Doise Dissensions Consensus.
書棚の整理。
諸事。
其の5
弥生2日。既朔とある。
見えぬ月は朝、東の空にあり、夕刻、西に隠れる。
一日落ち着かぬまま雑事をこなす。
傘をさす程度の雨。
其の6
弥生4日。夕月。
月齢2.34日。
日の出と共に東に上がったはずの細い月は少し緩やかに天空を巡り、日没後3時間近く西の空に残っているはずである。
太陽に対峙して地球が自転する。
そのことによる、地球上の一地点の日影の変化。
太陽と地球とに挟まれた位置にある月の自転と、地球に対する回転。
夜半に山本周五郎原作の映画を見る。
徳川の御世、貨幣経済による根底的な社会変化を、それは十分描ききっていない。
その宇宙を。
藤沢周平にしてまた然り。
其の7
車の更新を決め、あれこれの手続きが進む。
多分、安価な中古車を求める若い人がいるのであろう。
免許を取ったばかりの若い人か。
新しい車を売り、業績につなげたい人もいる。
今月最低でも5台、できれば7台か8台と営業担当者は言う。
貨幣についての小さな得失の積み重ねは言わぬこととする。
すべては斯様な大きな流れの中にある。
古くなった車への不安。
タイヤの磨耗。
開発当初の構造上の問題。
左右前方視界の不全など。
そして、運転補助機能。
新しい車に助けられてしばらくしのいでいくのであろう。
其の8
弥生6日、今日も夕月。
新緑のころに吹く夕間暮れの微風、とさる人のブログにある。
開花前。夕暮れの坂道を歩く。
ツィードの上着が重たい。
昨日未明、大仕事が山を越えた。結局睡眠時間は1時間半。
其の9
弥生9日 月はそっけなく九夜月。
夜半ちかく、弦を天空に向けて戴き西の空に没するはずである。
朝、緩やかに身体を動かし、のち、雑物の整理。
紙容器を再生ゴミとして、そして、その他雑物を可燃ゴミとして指定場所へ運ぶ。
太陽暦の上で月が替わると不燃ゴミ。そして、学区の廃品回収。
いやおうなく日々が移っていく。
今日は休暇をとってある。しかし気になることのあれこれがあり、職場へ連絡をする。
1時間近くを歩き、街で雑事。
雑事とおろそかにしてはならぬ。いずれも、新しい年度を乗り切るための準備。
滞りなくことが進むように。少しずつ始末をつける。
あと5年、あるいは6年の予定表。
姿の見えぬ月を描きながら月が天空にあらわれ、没していくまでを準備する。
月の始まりはこのようであったのか。
其の10
太陽の暦が改まる。
気の利いた馬鹿話のひとつも思い浮かばない。
1年前、思い描いたとおりの日々が過ぎる。
大陸の向こうの端の友人夫婦にまた孫が生まれた。
祝いを贈るべきか、あるいは不安の種になるのか。
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